【リングドリーム】ブラッディ井上の昔語り(中編)
亜細亜女子を退団し、東女に入った香雅里。
そこでまず行ったことは「東女との融和」。
業界トップの団体から移籍してきたからといって
決して驕ったりしないよう
一緒に移籍してきたレスラーに対してもきつく戒めた。
亜細亜女子を誇るようなことはすまい、と。
FWWWに移籍したばかりの頃、
ヴァンプが驕っていなかったかといわれれば・・・ねぇ?(^^;;
なので、さすがにここは耳が痛いところでしょうが
そこは一応井上がフォローを。
亜細亜女子のレスラーであったことに誇りを持てない香雅里は
『東女魂を受け継ぐ』『東女が一番』
そんなフレーズを前面に押し出し、
更には当時の東女エースより実力は明らかに上だったにも関わらず
あくまでも彼女を立てて、自分はナンバー2に甘んじ、
彼女が引退すると共に、香雅里にエースの座を譲り渡す事に。
これには3人とも納得がいかない様子ですが
さすがにこれは、今とは時代が違ったということと
へたに敵を作って古巣に足下をすくわれたくなかった
という理由もあったようで。
マネージャー東の入れ知恵もあり、
東女にうまくなじんでいった香雅里。
しかし、そんな香雅里を邪魔に思う連中も当然いたわけで。
そんな連中が、対抗策の一つとして見いだしたのが井上でした。
家業の手伝いの合間に趣味として行っていた柔道。
その練習している姿を見てピンと来たという東女のスカウト。
日本人離れした体格とか、とにかくべた褒めして
絶対に大成するから東女に入って欲しいと。
そして・・・井上はその言葉に乗せられることに。
拍子抜けするくらいの軽い練習を日々行い
半月もしない内にデビューを果たす井上。
同期を相手にしたデビュー戦・・・結果は瞬殺。
ここでもまた拍子抜けする井上。
そんな試合を続けていくうち、次々と辞めていく同期。
「プロの世界なんて大したことない」
勝ち続ける井上は、次第に驕るようになります。
そして・・・時は来た。
同期達が井上との対戦を拒否するようになった頃、
「一気に上を狙うべき」
と自分をスカウトした男がいうのを信じ、
正規軍の先輩達と当たった結果は・・・惨敗に次ぐ惨敗。
「会社の優遇」で増長した
パワーだけが取り柄の生意気な悪役新人に
正規軍が制裁を加える・・・
これが、男の作りたかった構図でした。
これまで無敵だと思っていた自分の技が全く通用せず
逆に、相手の技が体の芯まで響く。
狐につままれたような気分の井上。
何よりも不思議だったのは、
あの男がリングサイドから井上を見ていた事。
そして・・・
そんな井上を見て、笑っていたことだった・・・。
ヴァンプがこう言い出す気持ちもよくわかります。
とはいっても、これはもうずいぶんと過去の話ですからね。
しかし、これまで連戦連勝で
「プロの世界なんて大したことない」
と増長していた井上が、
ようやくこの状況に疑問を持ち始めます。
そして・・・
つづく